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ナイアシンだけじゃない!あなたに合った選択肢を見つける

  • yamanehari770
  • 1 日前
  • 読了時間: 8分

更新日:13 時間前

統合失調症の治療は、薬物療法が中心となりますが、ナイアシンのような栄養療法に加えて、様々な補助的な療法が注目されています。これらの療法は、症状の改善、社会機能の向上、再発予防などを目的として、薬物療法と併用されることが多いです。

以下に、ナイアシン以外の統合失調症で注目されている療法をいくつかご紹介します。


1. 薬物療法における新しいアプローチ


  • 持続性注射剤 (LAI: Long-Acting Injectables):

    • 従来の経口薬と異なり、月1~2回の注射で効果が持続するため、飲み忘れの心配が減り、再発や症状悪化のリスクを軽減できます。これにより、患者さんの生活の質の向上が期待されています。特に服薬アドヒアランス(服薬遵守)が課題となる場合に有効な選択肢となります。

  • 新規治療薬の研究:

    • 現在も、統合失調症の病態メカニズムを標的とした新たな薬剤の研究開発が進められています。例えば、自己抗体を除去する免疫学的なアプローチなど、現在の薬物療法では十分な効果が得られない患者さんに対する新しい治療戦略が期待されています。


2. 精神療法・心理社会的療法


統合失調症の治療において、薬物療法と同様に重要なのが精神療法と心理社会的療法です。これらは、患者さんが病気を理解し、症状に対処し、社会生活を営むためのスキルを身につけることを目的としています。

  • 認知行動療法 (CBT: Cognitive Behavioral Therapy):

    • 幻聴や妄想といった陽性症状に対して、その症状への対処法や考え方の歪みを修正していくことを目指します。また、うつ症状や不安症状の軽減にも有効とされています。患者さん自身が症状をコントロールする力を高めることを目的とします。

    • 幻覚や妄想を「事実ではない」と否定するのではなく、それに伴う苦痛を和らげたり、どのように対処していくかを共に考えたりするアプローチが取られます。

  • 心理教育:

    • 患者さんやその家族が、統合失調症という病気について正しく理解するための教育です。病気の症状、経過、治療法、再発のサインなどを学ぶことで、病気との付き合い方を身につけ、スティグマ(偏見)を減らすことにも繋がります。

  • 社会技能訓練 (SST: Social Skills Training):

    • 日常生活や社会生活に必要なコミュニケーションスキルや問題解決スキルを身につけるための訓練です。ロールプレイングなどを通じて、対人関係を円滑にし、社会復帰を支援します。

  • 作業療法・リハビリテーション:

    • 生活リズムの安定、意欲の向上、集中力の改善などを目指し、様々な作業や活動を通して心身の機能を高めていきます。地域社会での生活を支援するためのリハビリテーションも重要です。

  • 家族療法:

    • 家族が病気を理解し、患者さんをサポートするための方法を学びます。家族間のコミュニケーションを改善し、患者さんの回復を支える環境を整えることを目指します。


3. 脳刺激療法


  • 反復経頭蓋磁気刺激療法 (rTMS: repetitive Transcranial Magnetic Stimulation):

    • 脳の特定の部位に磁気刺激を与えることで、その部位の神経活動を調節し、精神症状の緩和を目指す治療法です。特に、従来の治療薬で改善が難しい幻聴や陰性症状、認知機能障害、うつ症状・不安症状に有効である可能性が示唆されています。うつ病ではすでに保険適用となっている国もあり、統合失調症においても研究が進められています。

    • 「間欠的シータバースト刺激(iTBS)」は、rTMSの一種で、より短時間で治療が可能な方法として注目されています。

  • 電気けいれん療法 (ECT: Electroconvulsive Therapy):

    • 難治性の統合失調症で幻覚妄想、興奮、緊張状態が強い場合や、薬剤の効果が乏しい、または副作用が問題となる場合に選択されることがあります。麻酔下で行われ、意図的に脳のけいれんを起こさせることで症状の改善を図ります。


4. 栄養療法・生活習慣の改善


ナイアシン以外にも、統合失調症の症状と関連が指摘されている栄養素や、生活習慣の改善も重要視されています。

  • オメガ-3脂肪酸(EPA、DHA): 脳の炎症を抑え、神経保護作用があると考えられています。一部の研究では、症状の改善や再発予防に役立つ可能性が示唆されています。

  • ビタミンD: 統合失調症患者でビタミンDレベルが低いことが報告されており、補充療法が検討されることがあります。

  • 葉酸: 神経伝達物質の合成に関わり、特に陰性症状の改善に有効な可能性が指摘されています。

  • 亜鉛: 統合失調症患者で不足しがちな栄養素とされています。

  • 腸内環境の改善: 脳と腸の関係(脳腸相関)が注目されており、腸内環境を整えることが精神状態に影響を与える可能性も指摘されています。

  • 規則正しい生活: 十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動は、ストレスを軽減し、症状の安定に寄与します。

  • 禁煙・禁酒: タバコやアルコールは精神症状を悪化させる可能性があるため、控えることが推奨されます。

重要事項:

これらの療法は、統合失調症の治療において、薬物療法と組み合わせて行われることが一般的です。いずれの療法も、必ず専門の医師と相談し、個々の患者さんの症状や状態に合わせて、適切な治療計画を立てることが最も重要です。 自己判断で治療法を選択したり、中止したりすることは避けてください。


その他


経皮的耳介迷走神経刺激(transcutaneous auricular vagus nerve stimulation: taVNS)は、非侵襲的な脳刺激療法の一つで、耳介にある迷走神経の枝を介して電気刺激を与え、脳の機能を調節することを目指します。統合失調症に対するtaVNSの作用機序や効果については、現在も研究が進められている段階ですが、いくつかの有望なメカニズムと報告がなされています。


taVNSの作用機序(統合失調症への関連が示唆されるもの)


taVNSは、迷走神経の求心性経路(脳に向かう神経路)を刺激することで、脳幹にある孤束核(Nucleus Tractus Solitarius: NTS)を介して、様々な脳領域に影響を与えるとされています。統合失調症に関連すると考えられる主な作用機序は以下の通りです。

  1. ノルアドレナリン系とセロトニン系の調節:

    • 迷走神経は、脳内の青斑核(Locus Coeruleus: LC)と密接に連結しており、このLCはノルアドレナリン(NE)という神経伝達物質を放出する主要な部位です。NEは、覚醒、注意、気分、認知機能などに関与します。taVNSによるLCの活性化は、ノルアドレナリンの放出を促進し、神経伝達を改善する可能性があります。

    • また、セロトニン系の神経伝達にも影響を与え、気分や認知機能の調節に寄与する可能性が示唆されています。

  2. 抗炎症作用:

    • 迷走神経は、体内の炎症反応を抑制する「抗炎症経路」に関与しています。統合失調症の一部では、脳内の炎症が病態に関与している可能性が指摘されており、taVNSがこの炎症を軽減することで症状の改善に繋がる可能性があります。

  3. 脳内の神経回路の調節:

    • taVNSは、前頭前野、扁桃体、海馬などの気分、感情、認知機能に関連する脳領域の活動や結合性を調節することが示されています。これらの脳領域の機能異常は、統合失調症の症状(特に陰性症状や認知機能障害)と関連していると考えられています。

    • 特に、統合失調症における海馬の過活動を抑制し、認知機能の改善に繋がる可能性が指摘されています。

  4. 神経可塑性の促進:

    • 迷走神経刺激は、神経細胞の成長や再生を促す脳由来神経栄養因子(BDNF)などの物質の増加を促す可能性があり、神経可塑性を高めることで、脳機能の再構築や症状の改善に寄与するかもしれません。


統合失調症におけるtaVNSの効果(現状の研究報告)


統合失調症に対するtaVNSの研究はまだ初期段階であり、大規模な臨床試験は限られています。しかし、いくつかのパイロット研究や小規模な臨床試験では、以下のような効果が示唆されています。

  • 認知機能の改善: 特にワーキングメモリー(作業記憶)や注意機能など、統合失調症で障害されやすい認知機能の一部に対する改善効果が報告されています。これは、患者さんの社会復帰や日常生活の質向上に大きく貢献する可能性があります。

  • 陽性症状・陰性症状への影響: 一部の研究では、幻聴や妄想などの陽性症状、あるいは意欲の低下や感情の平板化といった陰性症状に対して、ある程度の改善効果が示唆されることもありますが、一貫した効果はまだ確立されていません。

  • 睡眠の質の改善: 統合失調症患者に多く見られる睡眠障害の改善に役立つ可能性も指摘されています。

重要な注意点:

  • 研究段階であること: taVNSは、うつ病やてんかんなど一部の疾患では臨床応用が進んでいますが、統合失調症に対する有効性と安全性については、さらなる大規模で質の高い臨床試験が必要です。現時点では、確立された治療法として推奨されているわけではありません。

  • 個人差: 治療効果には個人差が大きい可能性があります。

  • パラメータの最適化: 刺激の周波数、強度、時間、電極の配置など、最適な刺激パラメータについてはまだ明確なコンセンサスが得られていません。

  • 補助療法であること: taVNSは、統合失調症の主要な治療法である薬物療法や精神社会的療法に代わるものではなく、あくまで補助的な治療法として研究されています。

統合失調症の治療においては、主治医とよく相談し、現在の症状や状態に合わせた最も適切な治療計画を立てることが重要です。taVNSに関心がある場合は、最新の研究情報や臨床試験の状況について専門医に尋ねることをお勧めします。


当院のtaVNS
当院のtaVNS


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